トランスミッションとは、別名「変速機」とも呼ばれる、車に取り付けられた仕組みのことです。
トランスミッションがあることで、効率のよい走行を実現することができます。
アクセルが滑っていると感じたり変速時に異音や振動を感じたりした場合、トランスミッションが故障している可能性があります。
トランスミッションは他の部品と比べると、あまり壊れる機会のないパーツです。
しかし壊れる機会が少ないからこそ、いざ故障するとどう対応していいかわからず焦ってしまうドライバーの方も少なくありません。
トランスミッションが故障したまま走り続けると事故につながる可能性があるため、早急に修理する必要があります。
そこで当記事では、トランスミッションの修理にかかる費用や時間について解説します。
トランスミッションの修理にかかる費用は、場合によってはかなりの高額になるケースがあります。
しかし修理方法を工夫すれば、かかる出費を安く抑えられる可能性もあります。
修理費用を安く済ませる方法についても解説するため、トランスミッションの修理を検討している方はぜひお読みください。
トランスミッションの修理費用は最悪100万越え
トランスミッションの修理にかかる費用は、5,000円程度で済むこともあれば、最悪100万円を超えてしまうケースもあります。
トランスミッションの修理方法にはさまざまなものがあり、方法によってもかかる費用は大幅に変わってきます。
場合別トランスミッションの修理費用の目安表
トランスミッションの修理にかかる費用と時間の目安は、以下の通りです。
対処法 | 修理費用 | 修理期間 |
ATF交換 | 5,000〜30,000円ほど | 60分程度 |
オーバーホール | 200,000円ほど | 1ヶ月程度 |
新品のミッションに載せ替え | 100万円前後 | 1週間程度 |
それぞれの修理の概要などについては、以下で詳しく解説します。
ATF交換はプロに判断を任せよう
ATFは、「オートマチック・トランスミッション・フルード」の略称です。
油圧バルブやトルクコンバーターのコントロールを行ったり、トランスミッションの中にある歯車を潤滑にしたりと、大切な役目を持つオイルです。
ATFの交換を行うことで、トランスミッションの故障が改善される可能性があります。
特に故障が初期の段階である場合、ATF交換だけで事足りることが多い傾向にあります。
ATF交換を行う場合、およそ5,000〜30,000円の費用がかかります。
ATF交換にかかる時間は、60分程度です。
ATF交換で修理が完了する場合、他の方法よりも少ない出費で済ませることができます。
しかしATFの交換を長期間していなかった車の場合、ATF交換を行ってもらえないケースがあります。
というのも、長い間ATF交換をしていないと、ATFをミッションから抜く際にゴミや鉄粉が一緒に出てくることがあるためです。
ゴミや鉄粉が油路を塞いでしまうと、ミッションの中が完全に故障してしまうリスクがあるのです。
具体的には、40,000キロ以上ATFを交換していない場合、原則交換はできなくなってしまいます。
また、車の種類によってはそもそもATFを交換しない方が良いケースも存在します。
ATFを交換して問題ないかは、初心者の方には判別が困難です。
自分で判断して交換してしまうと、さらなる故障の原因にもなりかねません。
交換の際は、まずプロに相談するようにしましょう。
オーバーホールは高額になることを覚悟
オーバーホールとは、車両をパーツ単位にまで細かく分解してから清掃・修理・点検を行うことです。
変速した際の振動が大きかったり、滑りの度合いが強かったりする場合は、オーバーホールを行うことになります。
オーバーホールを行えば、ATFの交換よりも確実に不具合を解消できる可能性が高まります。
しかし、ATFの交換と比べるとかなりの費用がかかるという欠点も持っています。
オーバーホールを勧められた場合、費用は200,000円ほどかかります。
オーバーホールを実施する場合、故障したトランスミッションを車からおろし、オーバーホールを行い、ミッションの中のパーツを交換する、というさまざまな作業を行うことになります。
それぞれの作業ごとに工賃やパーツ代が発生するため、合計費用は高くなりやすい傾向にあります。
修理にかかる期間も1ヶ月ほどと長めになるため、ご注意ください。
新品のミッションに載せ替える場合はさらに高額に
新品のミッションに載せ替えた場合、オーバーホールを超える高い費用が発生します。
時には、100万円を超えることもあります。
トランスミッションは、非常に繊細なパーツです。
そのため、本体そのものにかかる費用が高額になりやすい傾向にあります。
相当な費用がかかるため、トランスミッションの故障の度合いが大きい場合は、車自体の買い替えを検討するのもひとつの手でしょう。
施工にかかる期間は、1週間程度です。
トランスミッションの修理費用を少しでも安くする方法2点
トランスミッションが故障した場合、修理にはかなりの費用がかかります。
修理を行う場合、少しでも出費を抑えて直したいところですよね。
以下の方法で修理を行うことで、トランスミッションの修理にかかる費用を減らせる可能性があります。
- 整備工場に依頼する
- リビルド品を使用する
それぞれについて、詳しく解説していきます。
整備工場に依頼する
1つ目の方法は、整備工場に依頼するというものです。
トランスミッションの修理は自分で行うことが難しいため、原則お店に依頼することになります。
トランスミッションの修理を承ってくれる主なお店の選択肢として、ディーラーと整備工場の2つが挙げられます。
安く済ませたいという方は、ディーラーではなく整備工場に依頼することをおすすめします。
ディーラーで使用される修理部品はメーカーの純正であるため、価格が高めに設定されています。
また、修理よりも費用がかかりやすい交換を勧められることが多い傾向にあります。
一方で整備工場の場合、部品を交換する際は純正パーツではなく社外のパーツを利用することが多くあります。
社外パーツを利用すれば、純正のパーツよりも安く済ませることができます。
またディーラーのようにすぐに交換をしようとせず、直せるパーツに関しては積極的に修理を行おうとしてくれます。
上記のような理由から、修理にかかる費用を抑えられる可能性が高いと言えます。
なお、整備工場によっても修理にかかる値段は異なります。
近所に整備工場が複数ある場合は、それぞれの価格表などを比較し、どちらが安く済むかをじっくりと検討してみましょう。
リビルト品を使用する
2つ目の方法は、リビルト品を使用するというものです。
リビルト品とは、廃車となった車から取り出された、再利用ができるパーツのことです。
廃車や再利用と聞くと、「質が悪いものを使うことになるのではないか」と不安に感じる方も少なくないでしょう。
しかし、その点については問題ありません。リビルト品はリビルトメーカーによってしっかりとメンテナンスが行われているため、故障の心配をおさえて使用することができます。
トランスミッションそのものを交換する場合、リビルド品を使用するのがおすすめです。
ミッションケースは中古となっているものの、ケースの中はきれいに掃除されていたり、中のギアやクラッチ盤は新品に置き換わっていたりするため、新品と遜色ない形で使用できます。
中古品のため新品よりも安く手に入り、出費を大幅に節約できます。
リビルト品のトランスミッションは、一般的な車種であれば整備工場などに在庫があるケースがほとんどです。
修理を行う際、リビルト品がないかスタッフに尋ねてみることをおすすめします。
トランスミッションが故障したときにおこる症状4つ
トランスミッションが故障すると、以下のような症状が車に現れます。
- アクセルを踏んでも動力が伝わりにくくなる(滑り)
- 変速時に異音や振動を感じる
- 燃費が悪くなる
- 異臭がしてくる
心当たりのある症状がある場合は十分にご注意ください。
それぞれの症状の詳細については、以下で順に解説していきます。
変速時ではなくアクセルを踏んだ際に異音が聞こえるときはアクセルを踏むと異音!故障の原因を5つのタイプ別に徹底解説をご参照ください。
①アクセルを踏んでも動力が伝わりにくくなる(滑り)
トランスミッションが故障すると、アクセルを踏んでも動力が伝わりにくくなります。
具体的には、以下のような症状が現れます。
- エンジンの回転数は上がるにもかかわらず、車が前に進みにくくなる(加速が鈍いと感じる)
- 車が進まなくなる
上記のような現象は、「滑り」とも呼ばれています。
滑りが起こる原因は、エンジンの動力をミッションに伝達しているトルクコンバータの故障です。
トルクコンバータが故障することで、エンジンの回転がタイヤに伝達されにくくなり、エンジンが空回りしたような状態となってしまいます。
滑りが起きている状態で走行を続けるのは、非常に危険です。登り坂を登っている時などに滑りが起きると、車がしっかりと加速できず、事故につながる可能性もあるためです。
この状態で放置し続けると、エンジンの回転をタイヤに伝達するトランスミッションの機能が完全に失われます。
すると、「アクセルを踏んでもエンジンが空回りするだけで、車自体はまったく動かない」という状況になってしまいます。
②変速時に異音や振動を感じる
トランスミッションが故障した場合、変速時に異音や振動を感じることがあります。
シフトレバーをパーキングからドライブに動かした際、以下のような症状が車に見られた場合は、トランスミッションが壊れている可能性があります。
- 車全体がガクンと大きく揺れるような感覚を覚える
- 「ガリガリ」という異音が聞こえる
ミッションの中で故障が起きると、内部で行われているギアの上げ下げが円滑に行われなくなり、上記のような異変をもたらします。
上記の症状を放置していると、ミッションの中のギアが壊れる可能性があります。
ギアが壊れると、破片がミッションの中にダメージを与え、さらに大きな故障につながることもあります。
故障の度合いが大きくなりすぎると、修理できなくなる可能性もあるため、早めに点検や修理を行うようにしてください。
③燃費が悪くなる
トランスミッションが故障すると、車の燃費が悪くなります。
ミッションは、エンジンの力をタイヤに伝達する働きも担っています。
そのミッションが壊れてしまうと、エンジンの動力がスムーズにタイヤへ伝わらなくなります。
すると普段以上にエンジンの回転を上げなければならなくなるため、燃費が悪くなってしまうのです。
④異臭がしてくる
トランスミッションが故障すると、走行中に異臭を感じることがあります。
トランスミッションの中が加熱されると、中にあるオイルが燃えます。
オイルが燃えることによって、異臭を発生させることがあります。
特にトランスミッションに使用されているATFは、普通のエンジンオイルよりも強い匂いを持っています。
トランスミッションがオイル漏れを起こした場合、ATFの強い匂いがシートの下やエンジンルームから漂ってくるようになります。
異臭を放置していると、オイルが漏れ続け、火がついて火災事故につながる可能性があります。また、油面が低下することでさらなる故障を引き起こすケースもあります。
燃えているATFは、鉄が焼けるような匂いを発生させます。異臭を感じたら、すぐに点検を行ってください。
まとめ
最後に内容をおさらいします。
トランスミッションが故障した場合、修理には多くの費用がかかります。
ATFの交換の場合は5,000円程度で済むこともありますが、新品のミッションに乗せ換える場合は100万円を超えるケースもあります。
大きな出費が出やすいトランスミッションの修理において、費用を抑えるコツは、整備工場に依頼するかリビルト品を使用することです。
もし、上記の方法を試しても修理費用が高くつく場合は、車を手放して新たに車を乗り換える方が経済的でしょう。
ただ、トランスミッションに重度な故障がある車は市場価値が下がり、ディーラーや中古車買取業者では良い価格で買い取ってもらえる可能性が低くなります。
そのため、故障車や事故車を専門に買い取っている業者に買取を依頼するのが得策です。
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