愛車が盗難にあった場合、廃車手続きを行い「使用できない状態」にする必要があります。
そのままにしておくと自動車税が課税され続けることになるほか、犯罪などに悪用され二次的な被害を生む可能性もあるため、早急に対処しなければなりません。
では、盗難車の廃車手続きはどうやって行うのでしょう。
盗難され車が手元にない場合、何からはじめていけばよいのでしょうか。
そこで当記事では、
- 盗まれた車を廃車する流れ
- 窓口で行う手続き(一時抹消登録)
- 所有権がローン会社の場合など、特殊な状況での廃車について
などについて詳しく解説します。
車が盗難され困っている方、車が手元になくなってしまった方などはぜひご参考ください。
盗まれた車が見つからない場合、廃車手続きが必要
車が盗難され、見つからない状態が続く場合、廃車手続きを行う必要があります。
廃車手続きを行わないと、「自動車税」の支払いが引き続き発生します。
盗難され犯人が車を乗り回している状態でも、廃車手続きを行わないと自動車税の支払いは所有者本人にいくことになります。
廃車手続きを行うことにより、対象の車両を法的に「使用できない状態」とできるため、自動車税の支払いを止めることができます。
なお、廃車手続きには、「永久抹消登録」と「一時抹消登録」の大きく2タイプがあります。
廃車手続きのタイプ | 手続き内容、車両の扱い |
永久抹消登録(軽自動車の場合は「解体返納」) | 車を永久的に使えなくする手続き。車を解体しその車両は二度と使えない。 |
一時抹消登録(軽自動車の場合は「自動車検査証返納届」) | 車を一時的に使えなくする手続き。解体は不要。盗難車が見つかった際には中古車新規登録という手続きをすることで、再度利用することも可能。 |
盗難の場合は、後者の「一時抹消登録」として廃車手続きをするのが一般的です。
一時抹消登録をすることで、その車両は使用できない状態となり、公道を走らせたり、車検を通すことはできなくなります。
また一時抹消登録で廃車にした車両であれば、もし車が見つかり再使用したい場合において、中古車新規登録(軽自動車は中古車新規検査)を行いナンバープレートを再交付することで、再び公道を走らせることが可能となります。
なお、盗難された車が見つかっても二度と使わない場合であれば、「永久抹消登録」で廃車にすることもあります。
盗まれた車を廃車する流れ
盗まれた車を廃車にする場合、大きくは以下3つのステップを踏んで進めることになります。
ステップ1:警察署で被害届を提出し受理番号を受け取る
ステップ2:廃車に必要な書類を集める
ステップ3:陸運局で一時抹消登録をする
警察に被害届を提出し、必要書類を集め、陸運局に行き一時抹消登録の手続きを行う、といった流れになります。
以降ではそれぞれのステップについて、より細かく解説していきます。
警察署で被害届を提出し受理番号を受け取る
車の盗難にあった場合、まずは管轄の警察署に出向き、「被害届」を出します。
盗難された車が犯罪に利用されたり、事故を起こされたりすると、所有者に管理責任が問われることもあり、二次的なトラブルに発展することがあります。
そのため、被害届を出し、盗難の事実を警察に報告しておく必要があります。
被害届には、厚生労働省のサンプルを見ていただければわかりますが、年式、型式、排気量、登録(標識)番号、車体番号などを記入することになります。
これらの情報は自動車検査証(車検証)に記載されています。
車検証が手元にない時の対応
ほとんどの方が車検証を車のグローブボックスに車検証を入れているので、車を盗難された場合は車検証が手元にない場合が多いと思います。
そのような場合は、車を購入したお店や契約している保険会社に問い合わせてみましょう。
警察に被害届を提出すると、「受理番号」が発行されます。
受理番号は、この後の一時抹消登録の廃車手続きを行う際に必要となりますので、控えておきます。
廃車に必要な書類を集める
廃車手続きをする上で必要となる書類を集めます。
一時抹消登録を行う際には、以下の書類を用意する必要があります。
- 車検証(車検証がない場合は代わりに「登録事項等証明書」を用意)
- 理由書
- 実印
- 印鑑登録証明書
- 一時抹消登録申請書(軽自動車の場合は「自動車検査証返納証明書交付申請書」が該当)
- 自動車税(環境性能割・種別割)申告書(軽自動車の場合は「軽自動車税(種別割)申告」該当)
- 手数料(検査登録印紙代350円)
- 委任状(代理の人が申請する場合必要)
「1.車検証」に関しては、車検証も一緒に盗難されている場合、かわりに「登録事項等証明書」とよばれる書類が必要になり、陸運局の窓口にて取得できます(詳細は後述)。
「2.理由書」は、車検証やナンバープレートを盗難、紛失した場合に必要となる書類であり、ここに被害届の「受理番号」を記入する必要があります。
理由書は通常の一時抹消登録では不要ですが、今回のように車検証やナンバープレートを盗難、紛失している場合には提出する必要があり、こちらも陸運局の窓口にて取得できます。
「3.実印」と「4.印鑑登録証明書」は軽自動車の場合は不要です。
「5.一時抹消登録申請書」と「6.自動車税(環境性能割・種別割)申告書」は、当日に陸運局の窓口で入手できますので、当日記入し提出しても問題ありません。
陸運局で一時抹消登録をする
必要書類が集まったら、陸運局に出向き、窓口で一時抹消登録の手続きを行います。
なお厳密にいえば「陸運局」は通称であり、普通自動車の場合は現住所管轄の「運輸支局」、軽自動車の場合は、現住所管轄の「軽自動車検査協会」の窓口にて手続きを行います。
普通自動車の手続き先:
全国の運輸支局はこちらでチェックできます。
国土交通省 全国運輸支局等のご案内
軽自動車の手続き先:
全国の軽自動車検査協会はこちらでチェックできます。
軽自動車検査協会 全国の事務所・支所一覧
盗難車を一時抹消登録する流れを4ステップで解説
ここでは陸運局の窓口で一時抹消登録を行う際の流れについてより詳しく解説します。
具体的には、以下4ステップを踏み、進めていくことになります。
ステップ1:登録事項等証明書を発行する
ステップ2:窓口に書類を提出する
ステップ3:保険会社で自賠責保険の解約の手続きをする
ステップ4:還付金を受け取る
以降では、それぞれのステップについて詳細を解説します。
登録事項等証明書を発行する
陸運局の窓口で一時抹消登録の手続きを行う際には、車検証の提出が求められます。
しかし、一般的に車検証は車内のグローブボックスなどに保管しているため、車を盗難された場合、一緒に車検証も盗まれてしまうケースが多いです。
こうした場合、車検証の代わりに「登録事項等証明書」とよばれる書類を取得し、一時抹消登録時に提出する形となります。
登録事項等証明書は、車両情報が記載された書類となり、年式、型式、排気量、登録(標識)番号、車体番号など、車検証と似たような情報が書かれています。
陸運局の窓口で取得でき、取得時に手数料300円+身分証明書(運転免許証、健康保険証、住民基本台帳カードなど)が必要となります。
加えて、車を盗難された場合、ナンバープレートも車と一緒に盗難されていることになりますので、「理由書」も合わせて記入し提出します。
一時抹消登録時には、本来はナンバープレート前後面2枚を返却しなくてはならないのですが、今回のようにナンバープレートの盗難や紛失をしている場合は、その事実を理由書に記載し、報告する必要があるためです。
窓口に書類を提出する
登録事項等証明書と理由書を書き終わったら、その他の必要書類と一緒に、陸運局の窓口に提出します。
記載内容に問題がなければその日に承認され、一時抹消登録が完了となります。
なお、陸運局の窓口は混雑することもあり、日によっては1時間以上待たされることもあります。
特に週末、月末、年度末などは窓口が混雑しやすいので、都合が付く方は、混雑時期を避けることをおすすめします。
保険会社で自賠責保険の解約の手続きをする
一時抹消登録の完了後、保険会社に対して「自賠責保険」の解約申請を行います。
自賠責保険の解約を申請することで、自賠責保険の支払いが停止し、かつ残り期間がある場合は還付金として返ってきます。
自賠責保険の解約申請は、郵送もしくは保険会社支店の窓口で行えます。
郵送の場合の提出先や印刷用の書類などについては、各保険会社のホームページにて詳細の記載がありますので、そちらをご確認ください。
参考に各保険会社のHPをご紹介します。
還付金を受け取る
一時抹消登録した車の「自賠責保険」と「自動車税」に残り期間がある場合は、還付金(自賠責保険の場合は解約返戻金)として返金されます。
自賠責保険の還付金は、前述のとおり保険会社への解約申請時に指定した振込先に振り込まれます。
解約返戻金が振り込まれるのは、保険会社によりますが、必要書類をご発送いただいてから2〜3週間程度になります。
自動車税の還付金は、印鑑証明書の住所に対して都道府県から「還付通知書」が送付され、還付通知書を金融機関などに提出し換金する形となります。
※軽自動車の場合は還付制度がないため、残り期間があっても還付されません
なお「自動車重量税」においては、永久抹消登録で廃車にした場合のみ還付金を受け取ることができ、今回のように一時抹消登録で廃車にした場合には還付金は受け取れません。
盗難車の廃車に関するよくある質問
ここでは、盗難された車の一時抹消登録において、よくある疑問点について解説します。
車の所有権が自分でにない場合
車の購入時にローンを組んだ場合、車の所有権はディーラーやカード会社になっています。
自分に所有権がないと、盗難された場合であっても勝手に廃車手続きを行うことができません。
ですので、まずは現在の所有者となっているディーラーやローン会社に対し、車が盗難に遭ったことを報告し、その上で今後の対応も含め相談しましょう。
もし、ローンを完済していると所有権解除の書類をもらえ、陸運局で移転抹消(名義変更と一時抹消登録を同時にする)の手続きを行うことができます。
ローンの残債がある場合、所有権解除の書類はもらえず、たとえ盗難車であっても廃車できません。
なお、自動車税については、各県税事務所(軽自動車は市役所)の自動車税窓口にて「申立書」を提出することで、課税を保留とすることができます(この場合にも被害届の受理番号や登録事項等証明書が必要)。
もしローン完済に時間がかかり、その間の自動車税の課税を止めたいという場合は、申立書を提出しておくようにしましょう。
車が見つかった場合
盗難された車が見つかった場合、まずは警察署に出向き、被害届の解除を申請します。
被害届けが出されたままの状態だと、陸運局のデータが「盗難情報設定中」となり、再使用の手続きに進めないためです。
また、見つかった車にナンバープレートがついている場合には、陸運局に返却しましょう。
見つかった車を再利用したい場合、中古車新規登録(軽自動車は中古車新規検査)を行いナンバープレートを再交付することで、再使用が可能となります。
ただし、中古車新規登録が可能なのは一時抹消登録で廃車にした場合のみであり、永久抹消登録で廃車手続きをしてしまった場合には、中古車新規登録はできません。
車両保険を受け取った場合
続いて車両保険金を受け取った場合ですが、車を盗難された場合に車両保険を使うと、通常「全損」として扱われ保険金が支払われています。
保険金の支払い後は、保険法第24条に基づき、その車の所有権は保険会社に移転しています。
ただし盗難に遭った日から一定期間内(一般的に60日以内)に車が見つかった場合には、保険会社から受け取った車両保険金の全額を保険会社に払い戻すことで、見つかった車の所有権をふたたび自分に返還することが可能です。
このあたりの盗難自動車の返還についての細かなルールは、保険会社によっても異なりますので、詳しくは契約している保険会社の約款をご確認ください。
車がボロボロの場合は廃車にするという方法も!
最後に、盗難にあった車というのは、たとえ見つかったとしても、各部がボロボロとなり見るに堪えない姿になって戻ってくることもあります。
また、見つかっても一度犯罪者に渡った車にはもう乗りたくないという場合は、車を売却する方法もあります。
ボロボロになった車ですと、一般的な中古車買取店では買取拒否されることがありますが、「廃車買取業者」であれば、どのような状態の車でも買取を行ってくれます。
私たち、廃車買取の『タウ』でも、故障車・不動車・事故車・盗難車まで、どういった車であっても買取を承っています。
手数料も無料としており、解体費用やレッカー費用なども一切発生しませんので、ご心配ありません。
盗難車が見つかり、処分に困っている場合は、ぜひお気軽に『タウ』にお問い合わせください。