タイミングベルトとは、ゴムでできたエンジン関連の部品のひとつです。
タイミングベルトはエンジンの内部にあるため、一般的なドライバーの方が自ら交換することはできません。
基本的には、カーショップやディーラーなどの専門業者に交換を依頼することになります。
「タイミングベルトの交換ってどうしてこんなに高いの?」
「タイミングベルトって本当に交換しないといけないの?」
「前兆が出てきてから交換するのではダメなの?」
タイミングベルトの交換には大きな出費が発生するため、以上のように感じている人もいるのではないでしょうか。
当記事では、タイミングベルトの交換タイミングや交換せずに使用し続けるとどうなるかなどについて解説していきます。
タイミングベルトを正しく交換して安全に走行を続けたい方は、ぜひお読みください。
タイミングベルトは突然切れてしまうもの
タイミングベルトが切れる前兆を知っておきたい、という方は少なくないでしょう。
しかし残念ながら、タイミングベルトには特に切れる前兆というものがありません。
他のパーツであれば、壊れる直前に異音や変わった匂いなどを発することもあります。
しかしタイミングベルトの故障に関しては、ドライバー自身が事前に感知できるものではありません。
タイミングベルトはエンジンの中にあるため、一般的なドライバーの方が目で見て具合をチェックできるようなものでもないと言えます。
切れる前兆がないからこそ、適切なタイミングで定期的に交換することが大切です。
タイミングベルトに関して覚えておきたいこと3点
タイミングベルトに関して覚えておくべきことは、以下の3点です。
- タイミングベルトの交換タイミングは10年に1回
- 交換費用は軽自動車なら30,000円前後、普通自動車なら60,000円前後
- 交換にかかる時間は6時間程度
それぞれについて、順に解説していきます。
タイミングベルトの交換タイミングは10年に1回
タイミングベルトは、原則10年に1回は交換すべきです。
ちなみに10年というのは、1年の平均走行距離を10,000kmとした場合です。
ほとんどのメーカーではタイミングベルトの耐用年数を100,000kmとしているため、100,000km÷10,000kmで10年が目安となります。
10年は、一般道を平均程度の距離走り続けた場合の寿命です。
「自分は他の人よりも多く車を利用している」という意識のあるドライバーの方は、より早く交換を行うのがベターだと言えます。
また、一般道よりも足場の悪い場所を走る機会の方が多い方も注意が必要です。
山道などの走行しにくい道をよく走っている車は、タイミングベルトが劣化しやすい傾向にあります。
加えて、車のメンテナンス状況が悪いと、さらに寿命が縮んでしまうケースもあります。
具体的には、以下に該当するような車です。
- 過去にオーバーヒートを起こした車
- オイル交換などの定期的なメンテナンスを怠っている車
- オイル漏れを起こしているにもかかわらず、放置している車
以上に該当する車に乗っている方は、切れるタイミングが早まっている可能性があるため注意が必要です。
ちなみに、上記の寿命は国産車の場合です。
海外から輸入した外国車の場合、50,000km前後で交換を行わなければいけないケースもあります。
特殊な車の場合は、販売店に問い合わせてみることをおすすめします。
具体的な寿命は、車種などによっても大きく異なります。
また、ほとんどのドライバーは切れる前にタイミングベルトの交換を行っているため、「何年程度で切れる」という正確な平均寿命を計算するのは困難です。
極端な例で言うと、200,000km走っても切れなかったというケースもあれば、40,000kmで切れてしまったというケースも存在します。
「〇〇さんの車は〇〇km走ったと聞いたから」
「前の車は〇〇km走っても切れなかったから」
こうした理由で交換せずに乗り続けてしまうと、大きな事故につながる可能性もあります。
安全に走行を続けるためにも、寿命が来たら必ず交換するようにしてください。
交換費用は軽自動車なら30,000円前後、普通自動車なら60,000円前後
交換にかかる費用は軽自動車の場合30,000円前後、普通自動車であれば60,000円前後となります。
タイミングベルトそのものはゴムでできているため、本体の価格は実はそこまで高くありません。
多くの場合、2,000〜8,000円程度となります。
しかし交換には本体代とは別に、手間賃も発生します。
エンジンを開く作業は手間がかかり、6時間ほどの時間を要することとなります。
さらに、タイミングベルトはギア1コマも狂いなくしっかりと設置する必要があるため、交換には高度な技術が必要です。
時間と手間、高い技術力が必要となることから、エンジンの開け閉めには20,000〜60,000円と高額な工賃が発生します。
そのため、結果的にこのような高価格となってしまうのです。
ちなみに、エンジンを開かなくてもタイミングベルトを交換できるような車種であれば8,000円程度で済むケースもあります。
具体的には、一部のハイエースなどが挙げられます。
交換にかかる時間は6時間程度
タイミングベルトの交換にかかる時間は、6時間程度です。
ほとんどの場合、エンジンそのものを開かないとベルトの交換を行うことができません。
エンジンを開くとなると施工に手間がかかってしまうため、結果的に長い時間を要することになるのです。
タイミングベルトを使い続けているとどうなるのか
タイミングベルトの定期的な交換にはお金も時間もかかるため、発生するコストを考えると交換を渋ってしまう方も多いでしょう。
しかし、交換せずに長い間使い続けることはおすすめできません。
というのも、タイミングベルトの使いすぎは大きな悲劇を招くケースがあるためです。
タイミングベルトを使い続けていると、走行中に突然切れる可能性があります。
走っている間に突然切れると、場合によっては大きな事故を引き起こすリスクもあります。
では、タイミングベルトが走行中に切れるとどのようなことが起こるのでしょうか。
タイミングベルトが切れると、まずは突然エンジンが止まります。
ハンドルの操縦をアシストしているパワーステアリングやブレーキが重くなり、強制的に車が減速し始め、やがて停車します。
後ろの車の反応が悪ければ、追突事故が発生することになるでしょう。
一般道はもちろん、高速道路を走っている間や踏切の中、山間部などで切れた場合、より命に関わる事故につながる可能性が高まります。
交換せずに使い続けるとエンジンごとダメになってしまうことも
交換せずに使い続けることで生まれるリスクは、事故のリスクだけではありません。
運よく事故を防げたとしても、車が修復できないほどにまで故障する可能性があります。
タイミングベルトがダメになると、ベルトだけでなくエンジンごとダメになってしまうケースがあります。
エンジンがダメになると、結果的にタイミングベルトを交換する時以上の費用がかかってしまうことになります。
車を走らせている途中でタイミングベルトが切れると、カムシャフトというパーツが回らなくなり、バルブが動かなくなります。
その状態でピストンが回り続けることで、バルブやピストンがダメージを受けてしまいます。
ピストンがダメージを受けると、エンジンは修理ができなくなるほどの大きな損傷を負ってしまいます。
すると結果的に、「エンジンだけを直す」ということができなくなり、載せ替えるという選択肢しか選べなくなってしまうのです。
エンジンの載せ替えにかかる費用は高額です。少なくとも、400,000〜500,000円程度の出費が発生することになります。
タイミングベルトの交換費用を出し渋った結果、より大きな出費に繋がっては元も子もありません。
将来的な出費を減らし、安全にドライブを続けるためにも、タイミングベルトは定期的に交換を行うことをおすすめします。
ちなみにもしタイミングベルトが切れてしまった場合は、エンジンの載せ替えをするのではなく、車そのものを買い換えるというのも選択肢のひとつです。
エンジンの載せ替えにかかる費用は高額であるため、「高額な載せ替え費用を払うくらいなら、現在の車を廃車にして新しい車に乗り換える」という選択を行う人も少なくありません。
タイミングベルトは切れる前に交換するのがベストですが、もし切れてしまった場合は廃車にすることも検討してみてください。
交換時に一緒に交換をすすめられる部品一覧
タイミングベルトの交換のためにエンジンを開いた際、他のパーツの交換を一緒にすすめられることがあります。
同じタイミングで他のパーツも交換しておけば一石二鳥となるため、ぜひ交換を行っておきましょう。
エンジンをあける際に余裕があれば他の物も交換しておくと◎
タイミングベルトの交換において一番費用がかかるのは、エンジンを開けるという行為に対する手間賃です。
せっかくお金をかけてエンジンを開けるのであれば、他のパーツも交換しておくことをおすすめします。
タイミングベルトの交換と一緒に交換すべき主なパーツは、以下の通りです。
■クランクシャフトオイルシール
車のホイールを回転させるための仕組み「クランクシャフト」の部品のひとつ。エンジンオイルの漏れを防ぐ役割がある。
■カムシャフトオイルシール
エンジンのバルブを開け閉めするための仕組み「カムシャフト」の部品のひとつ。エンジンオイルの漏れを防ぐ役割がある。
■スパークプラグ
ガソリンを燃焼させる点火プラグの役割を持ったパーツ。
■アイドラプーリー
車のエンジンの点火に関わるベルトやエアコンの作動に関わるベルトなど、さまざまなベルトを支持するローラー。
■サーモスタット
エンジンによって温められた冷却水を外部に流して、エンジンの温度調節を行う装置。
■ウォーターポンプ
エンジンが適切な温度になるまで冷却水を循環させることで、エンジンがオーバーヒートしないようにするパーツ。
■オイルポンプシール
オイルが漏れないように封じるシール。
■ヘッドガスケット
シリンダー(ピストンエンジンを構成するパーツのひとつ)の中に気密性を持たせるためのパーツ。
■補機類ベルト
発電機やウォーターポンプなどを動かすために動力を伝えているベルト。
■補機類ベルトのテンショナー
補機類ベルトの張り具合を、ちょうどよく保っているパーツ。
以上を一緒に交換すると、軽自動車であっても100,000円を超える出費が発生することもあります。
そのため、交換をすすめられた際「本当に交換するべきなのか」「騙されているのではないか」と感じるかもしれません。
しかし、同じタイミングで上記パーツを交換しておけば、最終的には経済面でも得できる可能性が高まります。
というのも、以上のようなパーツは、タイミングベルトの交換時期と交換インターバルが重なるケースが多くあるためです。
タイミングベルト交換の際に交換を行わないと、「他のパーツが壊れたのでまたエンジンを開かなくてはならなくなった」ということになりかねません。
2度エンジンを開くことになれば、2回分の工賃が発生します。
タイミングベルトと同じタイミングで交換しておけば、二度手間になるのを防ぐことができます。
費用を抑えて効率的に交換を行うためにも、ぜひタイミングベルトの交換に際して上記パーツも交換しておきましょう。
ウォーターポンプの修理に関して、自分で行う方法などが紹介されていたりしますがそれは危険です!詳しくはウォーターポンプの交換はプロに任せないとダメ!車が壊れるかも!?の記事をご参照ください。
タイミングベルトが切れてしまったら乗り換えを検討する
最後に内容をおさらいします。
タイミングベルトはいつ切れるかわかりません。
車を走らせている途中に突然タイミングベルトが切れてしまった場合、大きな事故に繋がる可能性もあります。
交換の目安となる時期が来たら、迷わず交換を行うようにしましょう。
タイミングベルトの交換には、大きな費用がかかります。
しかし交換を行わずに切れてしまった際の出費と比較すれば、交換代金を払った方が結果的に得できます。
現在の車に安心して乗り続けるためにも、必ず定期的な交換を実施してください。
もしもタイミングベルトが切れてしまった場合は、車を売って車を乗り換えるという選択肢も検討してみてください。
車の売却先としては、ディーラーや中古車買取業者がメジャーです。
ただしタイミングベルトが切れてしまった車の場合、ディーラーや中古買取業者に売っても販路の兼ね合いから良い値段はつけてもらえないケースがほとんど。
タイミングベルトがダメになるということは、すなわち車そのものがダメになり、エンジンの載せ替えを行わねばならなくなるケースが多いためです。
ですので、タイミングベルトに問題がある車は、専門の事故車買取業者に売却することをおすすめします。
事故車買取業者に売れば、中古買取業者では買取が期待できない車であっても、値段をつけてもらえる可能性が高まるためです。
当社は年間9万8千台以上の事故車買取実績を誇り、他社より高額で買取できる独自のノウハウや120か国以上の販売先ネットワークを持っています。
更に、全国無料で出張査定を行っているため、日本のどこのエリアでも査定を依頼いただけます。
故障車や事故車を修理せず手放したいと思った方は、ぜひ当社にご相談ください。