廃車の手続き時には、戸籍謄本(抄本)や除籍謄本の提出が求められることがあります。
なぜクルマを廃車する際に、こういった戸籍に関わる書類が必要となるのでしょうか。
今回は、戸籍謄本(抄本)や除籍謄本がどのようなものであるかを解説すると共に、廃車時に必要になる理由や、書類の入手方法についても紹介していきます。
その他、廃車手続きに必要な書類については【ケース別】廃車手続きに必要な書類や書き方を徹底解説!の記事も併せてご参照ください。
戸籍謄本(抄本)とは?
まず先に「戸籍(こせき)」というのは、日本国民の親族関係や出生、死亡などを記録したものです。
1つの戸籍には、1組の夫婦と未婚の子について記録されています。
そして「戸籍謄本(抄本)」とは、この戸籍を公的に証明する書類のことです。
戸籍の原本は本籍地の市区町村役場に保管されており、戸籍謄本(抄本)は、原本の写しとなるものです。
戸籍謄本(抄本)の紙面には、以下のような情報が記載されています。
【戸籍謄本(抄本)に乗っている情報】
- 本籍地
- 氏名
- 生年月日
- 親や子の名前や続柄
- 出生日
- 婚姻日
また、名前が似ていますが、戸籍謄本(こせきとうほん)と、戸籍抄本(こせきしょうほん)の2種類があります。
2つの違いは記載されている内容の範囲です。
戸籍謄本:戸籍の全員分(夫婦と未婚の子)について記録された証明書
戸籍抄本:戸籍に含まれる指定した人のみ抜粋して記録された証明書
廃車手続きに戸籍謄本(抄本)が必要なケース
廃車手続き時に、戸籍謄本が必要となるのは、主に以下のようなケースです。
- 結婚や離婚などにより姓が変わった場合
- 車の所有者が亡くなった場合
- 車の所有者が未成年の場合
など
一般的にケースとして多いのは、結婚や離婚で姓が変わった場合です。
結婚や離婚などで、車検証に記載の姓と印鑑証明書の姓が一致しない場合、廃車手続きの際に戸籍謄本を用意し、姓が変わったことの公的な証明をする必要があるためです。
除籍謄本とは?
除籍謄本(じょせきとうほん)はその戸籍に誰もいないことを証明するための書類です。
前述もしましたが、1つの戸籍には、1組の夫婦と未婚の子について記録されています。
しかし、結婚、離婚、死亡、転籍(本籍地を変更)などによって、途中で元の戸籍から抜けることがあります。
たとえば子供が結婚すると、その子供は元の戸籍から新しい戸籍に移ることになります。
そのように、結婚や死亡などによって、戸籍から一人ずつ抜けて行き、最終的に戸籍から誰もいなくなる家庭もあります。
誰もいなくなった戸籍は閉鎖され、戸籍簿からも削除される形となります。
除籍謄本とは、そうした誰もいなくなった戸籍を証明するための書類です。
たとえば、夫と妻の2人夫婦で、夫が亡くなった後に戸籍を取得すると、それは「夫が戸籍から抜けたことが記載された戸籍謄本」を取得することになり、除籍謄本にはなりません。
その後、残された妻のほうも結婚や死亡などにより戸籍から抜けた際にはじめて、その戸籍は誰もいなくなった戸籍となり、「除籍謄本」として扱われます。
廃車手続きに除籍謄本が必要なケース
除籍謄本が必要になるのは、主に、所有者がすでに亡くなっている車を廃車にする場合です。
車検証上の所有者を「亡くなった所有者」のままとした上で、遺族などの第三者が廃車にする場合、廃車手続きの申請者と故人との関係、また故人の死亡の事実を確認するために、除籍謄本が必要となります。
また、故人の車の名義を変更し、資産として受け継ぐ場合にも、除籍謄本が必要になることがあります。
戸籍謄本(抄本)・除籍謄本を取得する5つの方法
戸籍謄本(抄本)と除籍謄本が必要な場合、下記5つの方法で取得することができます。
- 市区町村の窓口で交付を受ける
- 電子申請で取り寄せる
- 郵送で取り寄せる
- コンビニのマルチコピー機で取得する
- 代理人が請求する
なお、本人以外が、戸籍謄本(抄本)と除籍謄本を取得する場合は、委任状が必要となります。
詳細は以降で解説する「代理人が請求する」をご覧ください。
市区町村の窓口で交付を受ける
本籍地となる市区町村の役場の窓口で、戸籍謄本(抄本)や除籍謄本を取得することができます。
窓口での手続きの際、以下のものを用意する必要があります。
- 交付請求・申出書(当日窓口で取得可能)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)
- 手数料450円
電子申請で取り寄せる
各自治体が運営している「電子申請システム」を利用することで、インターネット上から戸籍謄本(抄本)や除籍謄本の取得申請が行えます。
電子申請を行う場合、以下のものを用意する必要があります。
- マイナンバーカード(もしくは住民基本台帳カード)
- ICカードリーダー(もしくはマイナンバーカードに対応したNFCスマートフォン)
- クレジットカード
- 手数料450円
電子申請を行うと、申請から1週間程度で住民票のある住所へ、申請した書類が届きます。
また、電子申請システムは自治体によっても仕様が異なりますので、使い方の詳細は、本籍地となる自治体の電子申請システムページや窓口でご確認ください。
なお、電子申請は本人以外は利用できません。
郵送で取り寄せる
必要な書類をまとめて郵便で送り、戸籍謄本(抄本)や除籍謄本の取得申請が行えます。
郵送で取り寄せる場合、以下のものを用意する必要があります。
- 郵送請求書
- 本人確認書類のコピー(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)
- 手数料450円
請求書に必要事項を記入し、切手を貼った返信用封筒に宛名を記入して、担当窓口へ郵送します。
そうすれば、通常、1週間~10日程度で、申請した書類が返送されます。
なお郵送方法、取り寄せ先の住所などは自治体によっても異なりますので、詳細は本籍地となる自治体の公式ページをご確認ください。
コンビニのマルチコピー機で取得する
マイナンバーカードがあれば、コンビニエンスストアのマルチコピー機を使い、戸籍謄本(抄本)や除籍謄本をその場でプリントアウトできます。
利用時間は、毎日6時30分~23時までの間に限られます。
コンビニのマルチコピー機で取得する場合、以下のものを用意する必要があります。
- マイナンバーカード(一部の自治体では住民基本台帳カードでも可能)
- 手数料350円
なお、住所地と本籍地が異なる場合、事前に利用登録が必要となります。
マルチコピー機から利用登録の申請も可能ですが、登録には日数がかかるため注意が必要です。
コンビニ交付についての詳細は、「地方公共団体情報システム機構(J-LIS)」が運営する公式サイトをご確認ください。
代理人が請求する
通常、戸籍謄本(抄本)や除籍謄本を請求できるのは、下記のような人です。
- 取得する戸籍に含まれる本人
- その本人の配偶者、または直系の親族(本人の父母、祖父母、子、孫など※叔父、叔母、従兄弟などは含まない)
それ以外の人が代理人として取得する場合、「委任状」を用意する必要があります。
また、代理人が窓口で取得する際には、代理人自身の本人確認書類を用意する必要があります。
戸籍謄本(抄本)・除籍謄本を取得する際に気をつける点
最後に、戸籍謄本(抄本)や除籍謄本を取得する際に気をつける点をまとめます。
いま一度チェックの上、取得申請を進めてみてください。
- 本籍地の役場で取得する(現住所の役場ではない)
- 申請時には本人確認書類や手数料が必要
- 今回行う廃車手続きにおいて、戸籍謄本(抄本)と除籍謄本、どちらが必要になるかを確認しておく
- 電子申請や郵送で取り寄せる場合、即日発行ではなく日数がかかる
- 代理人に取得してもらう場合、委任状が必要
など
特に気を付けたいのは、一つ目の「本籍地の役場で取得する」という点です。
戸籍謄本(抄本)や除籍謄本の取得申請が行えるのは、戸籍上で「本籍地」として登録されている市区町村の役場です。
住民票などのように、今住んでいる場所の役場で取得できるわけではありません。
本籍地として登録されている場所は、通常、結婚していない場合は親の本籍地、結婚している場合はその際に定めた本籍地です。
まずは親や家族に確認をとってみてください。
わからない場合は、本籍地を記載した住民票を取得して確認する方法もあります。
まとめ
以上、戸籍謄本(抄本)や除籍謄本について解説しました。
廃車手続きにおいて、こういった書類が必要になるのは、主に結婚や離婚をして姓が変更になった人です。
姓が変更になった人は、その証明として戸籍謄本(抄本)や除籍謄本を必ず提出しなければなりませんので、廃車手続き時には、忘れずに用意してください。
私たち廃車買取のタウでは、今回解説したような姓が変わった方の車の廃車処理も承っております。
委任状も当社でご用意し郵送いたしますので、必要事項を記入して提出していただければ、その後の窓口での手続きを代行いたします。
その他、廃車手続きや各種書類の取り扱い等において、ご不明点の相談も行っておりますので、何かお困りのことがあれば、廃車買取のタウにお問合わせください。