廃車の手続きを行う際には、住所の変更を示すため、「戸籍の附票」とよばれる書類が必要になることがあります。
なぜこのような書類が廃車で求められるのでしょうか。
今回は、廃車手続きにおいて、戸籍の附票が求められる理由や役割、また戸籍の附票の発行方法についてもあわせて解説していきます。
その他、廃車手続きに必要な書類については【ケース別】廃車手続きに必要な書類や書き方を徹底解説!の記事も併せてご参照ください。
戸籍の附票とは?
まず先に「戸籍(こせき)」というのは、日本国民の親族関係や出生、死亡などを記録したものです。
1つの戸籍には、1組の夫婦と未婚の子について記録されています。
「戸籍の附票(ふひょう)」とは、その戸籍が作られてから(もしくはその戸籍に入籍してから)、現在までの(もしくはその戸籍から除籍されるまで)の住所が記録された書類のことです。
シンプルにいえば、その人の本籍地と、これまでの住所変更の履歴を証明できる書類というわけです。
生まれてから本籍地を変更していない場合は、生まれてから現在に至るまでの住所の履歴が記載されています。
結婚などで本籍地を転籍(移した)した場合、転籍後の本籍地からの住所変更の履歴が記載されています。
具体的に、戸籍の附票内には、以下のような情報が書かれています。
- 戸籍の表示(本籍および筆頭者)
- 氏名
- 住所
- 住所を定めた年月日
また、戸籍の附票には、「全部の写し」と「一部の写し」の2タイプがあります。
全員の写し:同じ戸籍に属する人全員について記載
一部の写し:同じ戸籍に属する人のうち、一部の人についてのみ記載(2名以上の連名も可能)
なお、戸籍の附票は、本籍地となる市町村の役場にて、戸籍の原本と一緒に保管されています。
廃車手続きに戸籍の附票が必要な理由
戸籍の附票が必要になるのは、普通自動車を廃車にする場合で、かつ引越しにより住所が変わっている場合です。
車検証に記載の住所と印鑑証明書の住所が一致しない場合にその証明として必要になります。
普通自動車の廃車手続きは運輸支局(陸運局)で行いますが、手続き時に、この戸籍の附票も合わせて窓口で提出することになります。
引っ越しの回数がポイント!
住所変更1回:住民票を用意
住所変更2回以上(本籍地の転籍なし):戸籍の附票
住所変更2回以上(本籍地の転籍あり):転籍後の戸籍の附票+転籍前の戸籍の附票(除籍の附票)
また、引越しでの住所変更の「回数」もポイントとなり、住所変更が1回であれば、戸籍の附票でなく「住民票」で証明できます。
しかし住所変更が2回以上の場合は、その事実がつながっていることを証明するため、これまでの住所変更がすべて書かれている戸籍の附票が必要になります。
また、結婚などで本籍地を転籍している場合は、転籍前の本籍地での戸籍の附票(厳密には「除籍の附票」とよびます)もあわせて必要になります。
軽自動車の廃車手続きの場合は必要ない
戸籍の附票が必要になるのは、あくまで普通自動車の廃車手続き時のみです。
軽自動車の廃車手続きの場合、普通自動車とは書類の取り扱いが異なるため、住所変更が2回以上ある場合であっても、通常、戸籍の附票を用意する必要はありません。
戸籍の附票の取得方法
戸籍の附票は、原本の「写し」として、取得することができます。
取得方法としては、下記4つの手段があります。
- 市区町村の窓口で交付を受ける
- 郵送で取り寄せる
- コンビニのマルチコピー機で取得する
- 代理人が請求する
なお、本人以外が、戸籍の附票を取得する場合は、委任状が必要となります。
詳細は以降で解説する「代理人が請求する」をご覧ください。
市区町村の窓口で交付を受ける
本籍地となる市区町村の役場の窓口で、戸籍の附票を取得することができます。
窓口での手続きの際、以下のものを用意する必要があります。
- 交付請求・申出書(当日窓口で取得可能)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)
- 手数料300円
郵送で取り寄せる
役場に出向くことが難しい場合は、郵送での取り寄せも可能です。
郵送で取り寄せる場合、以下のものを用意する必要があります。
- 郵送請求書
- 本人確認書類のコピー(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)
- 手数料300円
請求書に必要事項を記入し、切手を貼った返信用封筒に宛名を記入して、担当窓口へ郵送します。
そうすれば、通常、1週間~10日程度で、申請した書類が返送されます。
なお郵送方法、取り寄せ先の住所などは自治体によっても異なりますので、詳細は本籍地となる自治体の公式ページをご確認ください。
コンビニのマルチコピー機で取得する
マイナンバーカードを持っている人であれば、コンビニエンスストアのマルチコピー機を使うことで、 戸籍の附票をその場でプリントアウトできます。
利用時間は、毎日6時30分~23時までの間に限られます。
コンビニのマルチコピー機で取得する場合、以下のものを用意する必要があります。
- マイナンバーカード(一部の自治体では住民基本台帳カードでも可能)
- 手数料200円
なお、住所地と本籍地が異なる場合、事前に利用登録が必要となります。
「マルチコピー機から利用登録の申請も可能ですが、登録には日数がかかるため注意が必要です。
コンビニ交付についての詳細は、「地方公共団体情報システム機構(J-LIS)」が運営する公式サイトをご確認ください。
代理人が請求する
通常、戸籍の附票を請求できるのは、本人、配偶者、直系尊属(父母、祖父母)若しくは直系卑属(子、孫)のみです。
それ以外の第三者が請求する場合、代理人という扱いとなり、「委任状」を用意する必要があります。
また代理人が窓口で取得する際には、代理人自身の本人確認書類を用意する必要があります。
戸籍の附票を取得する際に気をつける点
最後に、戸籍の附票を取得する際に気をつける点をまとめます。
いま一度チェックの上、取得申請を進めてみてください。
- 本籍地の役場で取得する(現住所の役場ではない)
- 本籍地を移している場合は、追加で転籍前の戸籍の附票(除籍の附票)も取得する
- 申請時には本人確認書類や手数料が必要
- 郵送で取り寄せる場合、即日発行ではなく日数がかかる
- 代理人に取得してもらう場合、委任状が必要
など
本籍地の役場で戸籍の附票を取得する
まず気を付けたいのは、1つ目の「本籍地の役場で取得する」という点です。
戸籍の附票の取得申請が行えるのは、戸籍上で「本籍地」として登録されている市区町村の役場です。
住民票などのように、今住んでいる場所の役場で取得できるわけではありません。
本籍地として登録されている場所は、通常、結婚していない場合は、出生地や親の本籍地となります。
結婚している場合はその際に定めた本籍地です。まずは親や家族に確認をとってみてください。
わからない場合は、本籍地を記載した住民票を取得して確認する方法もあります。
転籍前の戸籍の附票も取得する
もう一つ注意したいのは、2つ目の「本籍地を移している場合は、追加で転籍前の戸籍の附票(除籍の附票)も取得する」という点です。
戸籍の附票には、その戸籍に入籍し、本籍地としてからの住所変更記録しか記されていません。
ややこしい部分ですが、たとえば結婚をして本籍地を別に移した場合、結婚前の住所変更記録を追うため、転籍前の戸籍の附票(除籍の附票)も合わせて取得し、住所変更の連続性を証明しなければなりません。
そして、この転籍前の戸籍の附票(除籍の附票)を取得する場所は、転籍後の本籍地の役場ではなく、転籍前の本籍地の役場となりますので(一般的に結婚前に住んでいた実家がある市町村の役場)、間違えないようにしてください。
まとめ
以上、戸籍の附票について解説しました。
繰り返しとなりますが、戸籍の附票は、本籍地とこれまでの住所変更の履歴を証明できる書類です。
引越しを繰り返し、これまで2回以上住所を変更している人が廃車手続きを行う場合に、提出が求められることがあります。
戸籍の附票などで住所変更の事実が証明できないと、廃車が認められないこともありますので、必要が迫られている場合には、必ず用意するようにしてください。
私たち廃車買取のタウでは、今回解説したような引越しで2回以上住所変更のある方の廃車処理も承っております。
委任状も当社でご用意し郵送いたしますので、必要事項を記入して提出していただければ、その後の窓口での手続きを代行いたします。
その他、廃車手続きや各種書類の取り扱い等において、ご不明点の相談も行っておりますので、何かお困りのことがあれば、廃車買取のタウにお問合わせください。