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私有地の放置車両を撤去・処分する5つの手順!所有者が不明の時の対処法も

公園や道路上などの公共の場だけでなく、庭や駐車場のような私有地にまで車を放置していく人がいます。

放置車両はすぐに撤去したいところですが、実は自分の私有地だからといっても、勝手に他人の車を撤去することは、法律上禁止されているのはご存じでしょうか。

無断で撤去を行うと損害賠償を請求されるリスクも。

それでは私有地の放置車両はどのように対処したらよいのでしょうか。

そこで今回は、放置車両を正しく撤去するための5つの手順について解説します。

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目次

放置車両は勝手に撤去してはいけない

「放置車両」とは、土地の所有者の意思とは関係なしに無断に放置されている、もしくは違法に駐車している車両を指します。

ナンバーも外して、車両の持ち主はそのまま雲隠れし、何か月、何年待っても引き取りにこないことも珍しくありません。

対処しなければクルマは腐敗していき、より厄介な問題となる恐れもあります。

しかし、そのような放置車両が私有地にある場合であっても、車の所有者に無断でレッカー移動などを行い、撤去や処分をすること(自力救済)は、法律上で原則的に禁止されています。

廃車されていない車両は、法的に誰かの所有物や財産であるため、第三者が勝手に処分することはできないのです。

具体的には、自力救済に対して、過去に最高裁の以下のような判例があります。

———————————————
「私力の行使は、原則として法の禁止するところであるが、法律に定める手続きによったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能または著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で例外的に許される」(最判昭和40年12月7日、民集19巻9号2101頁)
———————————————

要約すると、自力救済は禁止が原則であり、やむを得ない事情がある場合のみ、厳しい要件の下でのみ許容されるとしています。

このような判例もあるため、たとえ私有地内であっても、放置車両を無題で撤去や処分をすることはNGです。

もし勝手に撤去した場合、以下のようなトラブルやリスクにさらされる恐れがあります。

  • 車の所有者から後日「同意なしに処分された」と不服申し立てられ、損害賠償請求を請求されたり、訴訟に発展するリスク
  • 放置車両を利用し損害賠償請求を狙った犯罪に巻き込まれる
  • 刑法上の「器物損壊罪」等に問われる可能性もある

など

反対に、自分(土地所有者側)からも「無断で私有地に車を放置された」として、損害賠償請求を求めることもできますが、それで相手側からの損害賠償請求が帳消しになるわけではないため、いずれにしても泥沼の争いになってしまいます。

警察に相談する

それでは私有地に放置車両がある場合、土地の所有者側はどのように対処すればよいのでしょう。

まず第一に行っておきたいのは、「警察」への相談です。

放置車両の中には、盗難された車や、誘拐などの犯罪に利用された車もあります。

そのような犯罪との関連がある車両であれば、警察の仕事にもなりますので、警察側も対処に動いてくれます。

放置車両に犯罪との関連があるかないかは調べないとわかりませんので、まずは犯罪の可能性もあると踏んで、警察に相談しておくのが賢明です。

調査の結果、犯罪との関連性がなく、単にどこかの誰かがマイカーを放置しただけの話であれば、私有地における民事的なトラブルとなります。

私有地内での民事的なトラブルとなると、警察には「民事不介入」の原則もあるため、警察側が取り締まることは基本的にできません。

車の所有者が判明すれば、連絡をして貰えることもありますが、撤去などその先のことまでは警察側は行ってくれません。

そういった場合は、それ以上警察に頼る事はできず、以降で解説するように自分の力で解決していかなければなりません。

放置車両を処分するまでの5つの手順

放置車両について、警察に相談しても対応してくれなかった場合、自分の手で解決しなければなりません。

しかし放置車両を無断で撤去、処分するのは原則的に禁止です。

そこでトラブルを避けるためには、正しい手順を踏む必要があります。

以降で解説する5つの手順を踏むことにより、合法的に放置車両を処分することができます。
※こちらの手続きはご自身でしていただく必要があります

車両を詳しく記録する

まず最初にやることは、車両の状態の記録です。

公的な権力により放置車両を撤去するためには、放置車両の状態を第三者に客観的に示せるよう、放置現場の見取り図や放置車両の写真など、クルマの状態を記録しておく必要があります。

具体的には、以下のようなポイントを抑え、放置車両の状態を記録しておきます。

  • 放置車両の位置や付近の見取り図を書く
  • 放置状況のわかる写真を撮る(放置車両の全景及び周りの景色が映っているもの)
  • 放置車両の前方又は後方から写した写真を撮る(自動車登録番号がわかるもの
  • その他各部の写真も撮っておく(車検ステッカー、室内、タイヤや車体の汚れや損傷の状態などのわかる写真

このような車両の情報は、所有者を特定するために必要となる「私有地放置車両関係位置図」を作成する上でものちのち利用することになります。

参考:関東運輸局「私有地放置車両関係位置図」

運輸支局や軽自動車検査協会で所有者を特定する

放置車両を正当に処分するためには、次に車の「所有者」を特定する必要があります。

「普通車」の場合、国土交通省の運輸支局に対し「登録事項等証明書」という書類を請求する形になります。

この登録事項等証明書には車の所有者・使用者の名前や住所が記載されているため、所有者を特定することができます。

登録事項等証明書を請求する上で、以下が必要になります。

  • 自動車登録番号(ナンバープレートに表記されている文字・数字全て)と車台番号(車台番号下7桁の数字)
  • 請求の事由(なんのための請求なのかを具体的に記入)
  • 請求者の氏名及び住所(窓口へ請求にきた人の氏名及び住所)
  • 請求される方の本人確認をする書面(運転免許証、健康保険証、住民基本台帳カードなど)
  • 手数料納付書(現在の登録内容の場合は300円、現在及び過去の登録内容の場合は1000円)

参考:関東運輸局「登録事項等証明書交付請求」

ここでポイントとなるのは、自動車登録番号と車体番号が必要になる点です。

自動車登録番号というのはつまりナンバープレートの数字ですので、ナンバーが付いていれば外からでもわかります。

一方、車台番号は車内のドア部やエンジンルーム内などに記載されていることが多いため、放置車両に鍵が掛かっている場合、確認できないことがあります。

そういった場合の救済手段として、別途「私有地放置車両関係位置図」を提出すれば、車台番号は不要となり、自動車登録番号の情報だけで登録事項等証明書を請求できます(ただし私有地に放置された車両に限ります)。

この「私有地放置車両関係位置図」を作成する上で、前述した車両の見取り図や写真などの記録が必要になるわけです。

一方、放置車両が「軽自動車」の場合は、普通車のように登録制度がありませんので、「登録事項等証明書」ではなく、軽自動車検査協会に対し「検査記録事項等証明書」を請求する形となります。

なお、「ナンバープレートが外されている」、「車体番号が削られている」等の理由で、必要な情報が確認できず、開示請求ができない場合もあります。
そのような場合は、以降の章「所有者が確認できない場合の対処法」で紹介するような手続きを取る形となります。

所有者に連絡する

放置車両の所有者の特定ができた場合は、所有者の住所に向け、撤去を求める連絡を行います。

連絡手段として、郵便局の「内容証明郵便」を送付するのが好ましいです。

内容証明郵便というのは、一般書留郵便物の内容文書について証明するサービスです。

具体的には「いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたか」を、差出人が作成した謄本によって、郵便局が公的に証明してくれる制度となります。

ここで勘違いしてはならないのは、内容証明を送付したからといっても、記載されている文書の内容に強制的に従わせることができるわけではありません。

しかし内容証明は裁判でも証拠として利用されるものであり、内容証明を送ることは、いわば「法的手段に訴える前段階」という意味を持ちます。

「これ以上、車両放置の問題が長引くならしかるべき措置をとりますよ」といったように、相手に暗黙の圧力のようなものを掛けることができるのです。

車を放置するような相手ですので、一般的な通達方法では要請に応じてくれないことも多いです。

念を押す意味でも内容証明を利用したほうが賢明でしょう。

内容証明を送った後、相手が放置車両の撤去を行ってくれれば、それで問題は解決となります。

訴訟を起こして所有権を自分にする

内容証明郵便で連絡をしても相手が要請に応じず、以降も車両を放置し続けた場合は、裁判所を利用し「訴訟」を起こすステップに入ります。

訴訟後、相手が出廷し要求に応じてくれれば、そこで放置車両の撤去をしてもらい問題が解決します。

もし訴訟に勝訴しても相手が裁判所の判決に従わない場合は、「強制執行の申し立て」を行い、所有権を強制的に移すこととなります。

債務名義(例:確定判決や仮執行宣言付判決等)を使って、所有権を得るための手続き(差押や競売)を行います。

一般的には、放置車両への需要は低いため、申し立て人自身が入札して車両を手に入れます。

裁判所や執行官から競落したことの証明書や引き渡しの許可証等が発行されます。この証明書を用いて、陸運局で車両の所有者となるための移転登録を行います。

以上の手続きにより、申し立て人が車両の所有者となり、自由に車両を撤去することができます。

車を廃車処分する

強制執行により所有権が自分に移れば、あとは放置車両を廃車にするなり売却するなり自由にできます。

車の廃車は、レッカー移動や書類作成等が発生するため素人には難しいです。

一般的には以下のような専門の業者に依頼する形となります。

廃車を行ってくれる業者の例:

  • ディーラー
  • 整備工場
  • スクラップ業者
  • 廃車買取業者

など

手続きが完了していれば、馴染みのディーラーや整備工場に依頼する事もできますが、少し視点をかえ「廃車車買取業者」を利用するのもおすすめです。

廃車買取業者では、文字通り事故車を「買取」して貰えるため、廃車費用を削減できるだけでなく、さらに買取価格分のお金も貰えます。

所有者が確認できない場合の対処法

「ナンバープレートが外されている」、「車体番号が削られている」等の場合、開示請求ができず、所有者の特定も不可能になることがあります。

そのように所有者の確認ができない状況の場合は、放置車両の窓ガラスなどに、日付や期限を記入した所有者への撤去警告の「張り紙」をする方法が有効です。

「〇日までに撤去しなければ、放置車両とみなし処分します。」といったような文言の張り紙をはっておきます。

放置した後も気になって車の様子を見にくる人もいるため、張り紙をしておけば、相手が動いてくれることもあります。

張り紙をしても相手が撤去を行わない場合は、廃車買取業者を呼んで処分してもらう形となります。

なおこのステップに進む際にポイントとなるのは、張り紙の内容、放置車両の状態、日付、期限、警察との連絡など「証拠」となるものを、すべて文章やデータなどカタチあるもので必ず記録しておくことです。

張り紙をはってから車を処分した場合でも、のちのち放置した相手から訴えられる可能性もあるため、処分までの経緯を立証できる証拠や証人を揃えておく必要があるのです。

放置車両を予防するために

ここまで解説したように、放置車両を撤去するとなれば、多大な手間がかかりますので、そもそも車を放置されないことが一番のぞましいです。

そのため、私有地の所有者側においても、普段から車を放置されないための予防対策を施しておくことが大切です。

放置車両の予防対策の例:

  • 防犯カメラや照明などを設置する
  • 警告文を掲示する
  • 敷地内のごみをこまめに片付ける

など

まとめ

以上、私有地の放置車両を撤去する方法について解説しました。

放置車両の撤去には手間が掛かりますが、だからといって所有者に無断で処分してしまうと損害賠償などのトラブルにも発展します。

面倒ではありますが、正式な手順を踏んで進めるようにしましょう。

最後に放置車両を処分する上で課題となるのが、廃車時の「費用」です。

手続きが完了していれば、ディーラーや整備工場、スクラップ業者などに廃車を依頼する事もできますが、レッカー費用、解体費用、手続き費用などで、数万円の廃車費用が発生することがあります。

そこで、廃車の費用を浮かすためには、事故車や不動車の買取をおこなっている「廃車買取業者」を利用するほうがメリットが多めです。

当サイト『廃車買取のタウ』でも、廃車買取を実施しています。

事故車、不動車、故障車、水没車などどんな車でも買取できます。

海外への輸出ネットワークが豊富にあるため他社よりも買取価格をつけることも可能。
また、廃車にかかるレッカー費用や解体費用、手続き費用などもすべて無料です。

相談や査定だけでも大歓迎ですので、車を処分したい場合はぜひ一度お気軽にご相談ください。

廃車で気を付けたい5つの注意点!買取業者に依頼した際のトラブルの事例も紹介

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