「もらい事故で廃車になった場合、保険金はどれくらい請求できる?」
「相手に10割の過失があるから、相手から賠償金・保険金をもらいたい」
「大切な車を相手の過失で廃車にされてしまって悔しい」
上記のようなお悩みをお持ちではありませんか?
自分にケガがなく、車だけの損傷の場合でも相手から賠償金を取れる可能性は十分にあります。
交渉次第では事故で損傷した車の買い替え費用まで請求することも可能です。
今回は、
- 相手からもらえる保険金と賠償金
- 自分の保険から出る金額
- 相手から賠償金を高くもらう方法
について紹介していきます。
事故車買取に携わって20年以上の経験を持ち、損害車や故障車に関する知識が豊富。 幼少期からの車好きが高じて、中古車販売店や大手カー用品店、ガソリンスタンドなどに従事し、 車の知見も深い。その経験を活かし、お得な売却術や修理・乗り換え方法など車に関する幅広いコラムの監修をしている。 ...続きを読む
交通事故で受け取れる保険金と賠償金
事故の被害者になった場合、自分の「保険金」と相手の「賠償金」の2つを受け取れます。
保険金や賠償金は大きく分けて「人の怪我や死亡」に対してと「車の損傷」に対しての2種類の損害に合わせた金額が補償されます。
今回は「車の損傷」に対して出る保険金・賠償金について紹介していきます。
自分の保険会社から受け取るお金
自分の保険から車に対して出る保険金については下記の表の通りです。
保険の名前 | 詳細 |
---|---|
無保険車傷害保険 | 相手が無保険の場合の補償 |
弁護士特約 | 車の賠償金など弁護士に相談する費用などの補償 |
自分の保険金からは相手が無保険だった場合の補償や弁護士に相談するときの費用の補償がでます。
「無保険車傷害保険」と「弁護士特約」を使用しても次年度の保険の等級は下がらないのでご安心ください。
加害者からもらえる賠償金
先述したように事故の加害者は被害者に対して賠償金を支払います。
自身の保険を使用した場合は等級が下がるので、相手の賠償金で修理費用などは支払うのがいいでしょう。
交通事故で相手からもらえる賠償金には以下の4つがあります。
名称 | 説明 | 補償内容 |
---|---|---|
損害賠償 | 事故で受けた損傷を元どうりにするための補償 |
など |
保険金 | 自動車保険や生命保険、自賠責保険など相手の保険会社から支払われる金銭 |
など |
示談金 | 示談で決められた損害賠償金
※交通事故の場合は保険会社同士で交渉される場合が多い |
など |
慰謝料 | 示談金に含まれる費用の1つ。
物損よりも精神的苦痛に対しての補償 |
(加害者に対して許せない思いが強いなど) |
※1 事故が起こらなければ出費しなかったであろう費用
(入院費や治療費、賠償のための弁護士費用も請求可能)
※2 事故が起こらなければ将来得るはずだった費用
(事故が原因で仕事を休んだ場合に得られなかった利益などが含まれる。)
賠償金は以下の3つの基準によって金額が決まります。
基準 | 説明 |
自賠責基準 | 交通事故で負傷した被害者に対して、法令で定められた最低限の基準 |
任意保険基準 | 加害者側の任意保険会社が慰謝料を計算するときに用いる基準 |
弁護士基準 | 弁護士や裁判所が慰謝料を計算するときに用いる基準 |
金額的には“弁護士基準>任意保険基準>自賠責基準”となりますが、一般的な交通事故では任意保険基準が適用されることが多いです。
例えば、交通事故によって愛車を廃車することになってしまった場合、保険料が任意保険基準で算出されてしまうと、次の車両を購入するための費用に満たないことも多いです。
そのため交通事故の被害者で弁護士を雇い、加害者により多くの金額を請求する方も少なくありません。
弁護士を雇った費用を加害者に請求できる可能性もあります。
弁護士をお得に雇う方法については後半で説明していきます。
修理はできない?全損扱いとは
ここまで事故で補償してもらえる金額について紹介してきました。
賠償金の請求を行う前に「全損」という概念を覚えておきましょう。
全損とは大きな事故に遭って車両が大破したり、修理代が非常に高額になったりして、保険会社から修理不可能と判断されることです。
全損は以下の2つに分けられます。
全損の種類 | 説明 |
物理的全損 | 修理不可能なほど損傷している状態 |
経済的全損 | 修理費が車の時価額を超える状態 |
保険会社から全損分の保険金を受け取ると、所有権が保険会社に移ります。
所有権が保険会社になった後は修理や廃車買取業者に売却といったことはできないので注意してくださいね。
では、全損の2種類について詳しく解説していきます。
物理的全損:修理が不可能な状態
物理的全損は、物理的に修理できないほどの損傷を指します。
愛着がある車であれば修理をしたい気持ちもあるでしょう。
しかし物理的全損の場合、修理すら不可能であると覚えておきましょう。
そのため「物理的物損」として請求した賠償金を、次の車両購入に充てるのが一般的です。
経済的全損:修理費が時価額を上回る状態
交通事故で損傷を受けた車両が修理可能だとしても、「経済的全損」として全損扱いされることがあります。
経済的全損は修理費用が車の時価額を上回った場合に判断されます。
時価額とは「同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離などの中古車市場において取得しうるに要する価額によって定める」とされています。
参考:【保険用語集】時価額|自動車保険・バイク保険のアクサダイレクト
時価額は「レッドブック」という書籍によって車両の上限が定められています。
レッドブックとはオートガイド社が毎月発行する書籍です。
中古車の価格情報が掲載されており、賠償実務の際の資料として用いられています。
例えば時価額30万円の車両で修理代が100万円かかるケースになると、保険会社からは「修理よりも車両を買い替えてください」と全損扱いされてしまいます。
保険金・賠償金を受け取るための手順
全損の種類を説明してきましたが、ここからは実際に保険金と賠償金を受け取るための手順を紹介していきます。
保険金・賠償金を受け取るための手順は以下の通りです。
- 必要書類の準備
- 事故の損害調査
- 相手の保険会社と示談交渉
- 保険金・賠償金の受け取り
では詳しく説明していきます。
①必要書類の準備
事故後、保険会社に連絡をすると保険金の請求に必要な書類を説明されるので、その説明に従って必要書類を準備しましょう。
保険金の請求に必要な書類は以下の通りです。
必要書類 | 説明 | もらう方法 |
保険金請求書 | 保険金を請求するという意志を保険会社に表明するための書類 | 加入している保険会社のサイトからダウンロード |
交通事故証明書 | 警察に事故の届出を出した場合にもらえる証明書 | ・サイトから申し込み
・自動車安全運転センター事務所窓口で申し込み |
罹災証明書 | 交通事故で救急車を呼んだ時にもらえる証明書 | 罹災証明書の発行を自治体に申請 |
修理見積書 (損害状況が分かる写真) |
修理見積書
(すでに修理の見積もりを出している場合)損害が分かる写真でも可能 |
修理の見積もりを出す |
②事故の損害調査
保険金を適切に支払うために保険会社による損害調査が行われます。
保険会社と事故の調査や被害状況の打ち合わせが行われるので対応しましょう。
車の損害状況や事故状況について聞かれます。
もし事故後の様子を写真などで撮っている場合はここで保険会社に提出するとより状況把握してもらいやすいです。
場合によっては事故の詳細を知るために現場に立ち会って損害調査をする場合もあります。
③相手の保険会社と示談交渉
損害調査が終われば、相手の保険会社との示談交渉が行われます。
基本的には保険会社同士の交渉になるので、加害者との直接やり取りはしません。
交渉に大事なのは冷静さなので、感情的になる気持ちもあると思いますが、経験豊富な保険会社にお任せしましょう。
示談金に納得できない場合や相手が賠償請求に応じない場合は弁護士を雇いましょう。
④保険金・賠償金の受け取り
示談交渉が成立したら、いよいよ保険金と賠償金が受け取れます。
保険会社からは指定の口座に保険金と賠償金が振り込まれます。
保険会社から書面などで支払額の案内があるので確認しておきましょう。
保険金と賠償金は示談が成立して、お互いに示談書に署名した日から大体2週間以内に支払われ、遅くとも30日以内には支払われます。
保険金・賠償金を多く受け取るための3つの方法
実際に保険金を受け取る方法が分かったところで、次に加害者から賠償金をなるべく多くもらう方法を3つ紹介します。
- 過失割合を把握する
- 損害項目が間違いないか確認する
- 弁護士に無料相談してみる
では、詳しく説明していきます。
過失割合を把握する
自分の過失割合をきちんと把握しておきましょう。
過失割合は損害賠償金に関係します。
過失割合が大きければその分支払う金額が大きくなります。
相手 | 自分 | |
過失割合 | 7割 | 3割 |
相手に支払う金額 | 相手の損害費用の約7割を支払う | 相手の損害費用の約3割を支払う |
上記の表のように相手の過失割合が大きいほど自分の損害に対して支払われる金額は大きくなります。
過失割合の確認方法は、示談書があれば過失割合についての記載があります。
免責証書や示談書を省略している場合は過失割合が口頭での説明になります。
過失割合はある程度、保険会社によって決められますが、納得できない場合は交渉できます。
交渉して当初の過失割合よりも小さくでき、賠償金も多くもらえる可能性があるので、過失割合に関しては必ず把握しましょう。
損害項目が間違いないか確認する
損害項目に間違いがないか必ず確認しましょう。
確認する損害項目については以下の通りです。
損害項目 | 説明 |
車の損害 | 車が事故で受けた損傷 |
レッカー代 | 事故後、自走できずレッカーを使用した場合 |
代車費用 | 新車の納車まで、もしくは修理期間中に使用する代車費用 |
着衣損害 | 事故時の服や携行品(カメラ・ゴルフクラブ)の損害 |
休車障害 | 営業車の場合で事故によって将来得られたであろう利益を失った損害 |
上記の5つの損害項目に当てはまる場合は保険会社の補償内容の項目にも記載されているか確認しましょう。
もし、記載漏れがある場合は加入している保険会社に連絡をして請求しましょう。
弁護士に無料相談してみる
賠償金を少しでも多く受け取るためには弁護士に相談するのが一番効果的です。
前述したように賠償金を請求する基準のうち、弁護士基準が金銭的には一番高いです。
保険基準では10万円しか賠償金をもらえないといった場合でも弁護士基準では30万円請求できる可能性があります。
おすすめなのが弁護士に無料相談してみることです。
無料相談は多くの弁護士事務所で実施されています。
無料相談であれば無料の範囲内で請求額に関しての相談が可能です。
無料相談を実施している弁護士事務所は下記のとおりです。
相談事務所 | 問い合わせ | 対応地域 |
日弁連交通事故相談センター | 電話:0120-078325 WEB:申し込み |
全国 |
法律相談センター | 電話:場所により異なる | 全国 |
交通事故紛争処理センター | 電話:場所により異なる | 全国11か所 |
その他にもそんぽADRセンターのように保険会社が無料で損害賠償の相談にのってくれる機関もあります。
上記のような機関に相談することで賠償金が増える可能性があるので、納得がいかない場合は相談しましょう。
示談書は書面で取り交わすのが重要
示談を行うときに一番重要なのが示談書を書面で取り交わすことです。
保険会社は業務の効率化・事故解決をスピーディに行うために示談書を作成せずに示談を取り交わす事がしばしば見られます。
しかし示談書がないので、口約束になり証拠が残らないので保険会社とのトラブルになります。
もちろん保険金が支払われた後に合意書が送られてきますが、口約束したことが記載されていない場合もあります。
示談書を省略してもいいか聞かれた場合は書面での示談交渉をお願いしましょう。
廃車になったら保険は解約するべき?
ここまでは相手からもらえる保険金や賠償金について説明してきました。
ここからは実際に車が廃車になった場合の保険の解約について説明していきます。
自賠責保険は解約する
自賠責保険は廃車にした場合は解約しましょう。
そもそも自賠責保険は車にかけられている保険になります。
そのため車を廃車にした場合は必然的に自賠責保険を解約する必要があります。
新しい車に買い替えを検討されている方も廃車にする場合は自賠責保険を解約しましょう。
自賠責保険は解約すると還付金が戻ってきます。
自賠責保険の還付金の計算方法は「自賠責保険の有効期間の最終日ー解約手続きをした日」です。
自賠責保険は早く解約すればするほど還付金は増えるので、廃車にすると決まったら早めに解約しましょう。
ちなみに自賠責保険の解約方法と必要書類に関しては「【誰でも簡単】陸運局で廃車手続きをする5STEP」で詳しく説明しているのでぜひ参考にしてくださいね。
任意保険は車を乗り換えるかで決める
任意保険に入っている場合は今後、車を新しく購入するかによって対応が変わります。
対応の方法は以下の通りです。
状況 | 対応方法 |
新しい車に乗り換える | 車両入替を行う |
車を所有しない・長期間車を所持しない | 解約手続きを行う |
新しい車に乗り換える場合
任意保険は人に対して保険がかかっているので車が変わっても引き続き保険を使用できます。
車を変更する場合は車両入替の手続きが必要です。
車両入替をする場合は保険会社への通知義務があるため、必ず保険会社に連絡しましょう。
車両入替を行うタイミングは納車日当日までとなります。
新車の購入が決まり次第、車両入替の手続きを行いましょう。
手続きに関しては各保険会社のホームページや電話で行えます。
保険会社 | 車両入替手続きページ |
ソニー損保 | 契約車両の変更(車両入替) |
損保ジャパン | 契約車両の変更(車両入替) |
東京海上日動 | 0120-323-523 |
チューリッヒ | 車両入替のお手続き |
アクサダイレクト | お車を買い替える場合 |
車を今後所有しない・長期間車を所持しない場合
今後、車を所有しない、もしくは長期間車を所持しない場合は解約するのがお得です。
車がない間に保険料を払うのはもったいないですよね。
解約方法は以下の通りです。
- 保険会社に電話して解約の旨を伝える/WEB上で解約手続きを行う
- 保険会社から郵送された書類の記入
- 必要書類(保険証券または保険契約継続証)を保険会社に提出
保険を解約すると払戻金が返ってくる可能性があるので、解約すると決めたら早めに手続きしましょう。
残念ながら等級は解約して7日以内に新契約を結ばないと引き継がれません。
等級が下がると次年度の保険料は上がってしまいます。
そのため1カ月以内に新車を購入する場合は解約せずに保険に加入したままにするのがおすすめです。
事故車のことならタウにご相談を
今回は事故の被害者になった場合、加害者に請求できる賠償金を紹介してきました。
不慮の事故で車が全損扱いになってしまい、廃車にするのか悩んでいる方は事故車買取専門店のタウへご相談ください。
タウは、年間10万5,000台以上の事故車を買取してきました。
業界トップクラスの事故車買取実績を持ち、多くのお客様から信頼のお声をいただいています。
タウでは世界120か国以上の販売ネットワークを持っており、業界最高値の買取金額をご提示いたします。
もう売れないと思っていた事故車が数十万で売れるなんてこともあるので、気になる方はぜひお気軽にタウにご相談ください!
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事故車買取に携わって20年以上の経験を持ち、損害車や故障車に関する知識が豊富。 幼少期からの車好きが高じて、中古車販売店や大手カー用品店、ガソリンスタンドなどに従事し、 車の知見も深い。その経験を活かし、お得な売却術や修理・乗り換え方法など車に関する幅広いコラムの監修をしている。