縁石とは、車道と歩道を区別するために境界線に敷かれるコンクリートのことです。
当記事では縁石に乗り上げてしまった際の適切な対処法、傷のチェックを行うべき場所、および車両保険を使うべきかどうかなどについて解説します。
縁石に乗り上げてしまった方、乗り上げた際スムーズに対応したい方は、ぜひお読みください。
縁石に乗り上げてしまった時は何よりまず車の状態確認!
車が縁石に乗り上げてしまった場合、車の下部分やタイヤがダメージを受けている可能性があります。
車がダメージを負っていた場合、そのまま走行すると大きな事故につながる可能性もあります。
すぐに公道へ出ようとせず、何よりも先にまずは車の状態を確認してください。
車全体の様子をチェックしてみてダメージを負っていることが判明した場合は、原則すぐにロードサービスへ連絡してください。
「ロードサービスを利用すると等級が下がるのでは」と不安な方も多いかもしれませんが、その心配はいりません。
ロードサービスを利用しても、自動車保険の等級には影響しないためです。
車と縁石の両方を確認し、どちらにも特に問題がなさそうな場合は、周りの安全に注意しながら脱出しましょう。
車の故障が疑われる3つの症状とは?対処法や修理費用をパーツ別に解説
バックで脱出する場合は、車の下の方が縁石にぶつかってダメージを受けないよう十分ご注意ください。
縁石乗り上げで考えられる不具合一覧
縁石に乗り上げた場合、車の以下のような場所にダメージを負った可能性があります。
- バンパー
- アンダーパネル
- アライメント
- ブレーキオイル
- タイヤ
- ホイール
それぞれの修理費用や修理にかかる時間、乗り上げた際にみられる症状は以下の表のとおりです。
破損箇所 | 乗り上げたときの症状 | 修理にかかる費用 | 修理にかかる時間 |
バンパーアンダーパネル | こするような音がする | 10,000〜1,000,000円ほど | 3時間〜1日ほど |
アライメント | タイヤに外傷ができる | 7,000〜21,000円ほど | 1〜3時間ほど |
ブレーキオイル | ブレーキオイルが車の下に漏れてくる | 1,000〜2,000円ほど(オイル代)+10,000〜50,000円ほど(工賃 | 1時間ほど |
タイヤホイール | タイヤに外傷ができる | 20,000〜50,000円ほど | 1本20〜60分ほど |
以下では、それぞれについて破損箇所ごとに詳しく解説していきます。
こするような音がしたときは車の底部分を損傷している可能性
縁石に乗り上げた際に「ガリガリ」といったこするような音がした場合は、車の底部分を損傷している可能性があります。
具体的には、以下のようなパーツに傷ができます。
- バンパー
- アンダーパネル
損傷した際の修理費用や修理にかかる時間については、以下で解説します。
バンパーやアンダーパネルなどの損傷
縁石に乗り上げた際、バンパーやアンダーパネル(車の下部分を覆うように取り付けられているパーツ)にダメージを負っている可能性があります。
擦り傷のような軽い損傷であれば、10,000〜20,000円ほどで修理してもらえます。
大きなダメージを負ってしまった場合は、300,000〜500,000円ほどするケースもあります。
また、車種によっては1,000,000円ほどすることもあります。
修理にかかる時間は、3時間〜1日ほどです。
異音がなくても目視で確認できる傷があれば要注意
「乗り上げた際に嫌な音がすることもなく、感覚としても擦った感じがあまりしなかった」という場合、「修理した方が良いのか」と悩んでしまいますよね。
乗り上げの際に異音がなかったとしても、油断はできません。
車全体の様子をくまなくチェックし、目視で確認できる傷がないかを見てみましょう。
目に見える傷がある場合は要注意です。
そのまま走行すると、不具合が出てきて事故を起こす可能性があるため、修理などの適切な対処を取る必要があります。
縁石の乗り上げによってできる主な傷やダメージは、以下の通りです。
- アライメントがずれる
- ブレーキオイルが漏れる
- タイヤが削れる
- ホイールが歪む
- 縁石側に傷がつく
以下では、それぞれの傷やダメージの詳細と、それらに適した対処法について解説していきます。
アライメントのズレ
縁石に乗り上げた際、ホイールアライメントがずれてしまった可能性があります。
アライメントとは、車を真っ直ぐ走らせるための仕様のことを指します。
これがずれると、車は真っ直ぐに走行できなくなってしまい、事故につながる危険性があります。
アライメントがずれているかどうかは、ゆっくりと車を走行させることで確認できます。
車を走らせた際、左か右に曲がってしまう場合は、アライメントがずれています。
ずれた状態で走行すると、以下のような不具合が発生しやすくなります。
- 真っ直ぐ走るのが困難になる
- ハンドリングに不具合が出る
- タイヤが部分的にすり減っていき、寿命が早く来るようになる
- 曲がる際のグリップ力が低下する
- 無駄な抵抗ができてしまい、燃費が悪くなる
車の寿命を縮めたり、事故につながったりする危険もあるため、ズレが判明した際は安全な場所に車を停めてレッカーを呼ぶようにしましょう。
レッカーで運んでもらった後には、アライメントの調整を行うことになります。
アライメントの調整は自分で行うのが困難であるため、カー用品店やディーラーなどのプロに頼るようにしましょう。
プロに頼る場合、アライメントの測定や、トー角キャンバー角キャスター角の調整などを行います。
トー角は、タイヤの進行方向に対する角度を表します。
キャンバー角は、車を前から見た際の、タイヤの地面に対する角度のことです。
そしてキャスター角は、タイヤの向きをコントロールするキングピン軸の傾きの角度のことです。
アライメントの修理費用の相場
プロに測定や調整を依頼する場合の費用相場は、以下の通りです。
- 測定にかかる費用:5,000円
- トー角の調整にかかる費用:7,000円
- キャンバー角の調整にかかる費用:7,000円
- キャスター角の調整にかかる費用:7,000円
- 4輪すべてのアライメント測定調整(3ヵ所以上):21,000円
- なお、上記のトー角キャンバー角キャスター角の調整費用は、フロントまたはリアのみを調整する場合です。
両方の調整を行う場合は2倍の料金がかかりますので、あらかじめご注意ください。
ちなみに、ホイールアライメントの調整には1〜3時間と長い時間がかかります。
調整を行う際は、できる限り時間に余裕を持って行くようにしましょう。
予約してからお店を訪れると、よりスムーズに調整を行ってもらえます。
ブレーキオイルの漏れ
縁石に乗り上げた後に液体が漏れていた場合、ブレーキオイルが漏れている可能性があります。
ブレーキオイルとは、ブレーキを正常に動作させるために必要なオイルのことです。
ブレーキフルードと呼ばれることもあります。
ドライバーがブレーキを踏んだ際、ブレーキオイルがブレーキキャリパーの中にあるピストンを押し出すことで、踏む力がブレーキパッドに伝達されます。
ブレーキオイルが漏れると、車に以下のような症状が現れることがあります。
- ブレーキの効きが悪くなる
- ブレーキが効かなくなる
車に以下のような症状が現れた場合、ブレーキオイルが漏れている可能性があります。
- ブレーキをベタ踏みしないと止まれない
- ブレーキが軽いと感じる
- ブレーキを踏んだ際、「ゴーゴー」「キーキー」という異音が聞こえる
ブレーキオイルが漏れていた場合は、重大な事故につながる前に整備工場などで点検修理を行ってもらうようにしましょう。
1回のブレーキオイル交換で必要となるオイルの量は、1リットルです。
ブレーキオイルを交換するときの費用
そして1リットルあたりの料金は、1,000〜2,000円程度です。
交換の際は、ブレーキオイル自体の料金に加え工賃も必要となります。
工賃は車種や修理する部分によっても変わってきますが、全体的な相場は10,000〜50,000円ほどとなっています。
破損の度合いが大きく、エンジンそのものを交換しなければならなかったりする場合は、費用がさらにかさむことになります。
ブレーキオイルの交換のみであれば、自分で行うこともできます。
ただし初心者の場合、うまく行えず事故や破損を招く場合もあるため、できれば整備工場などに任せるようにしましょう。
修理にかかる時間は、1時間程度です。
タイヤが削れている、ホイールが歪んでいる
縁石に乗り上げた際、タイヤが削れたりホイールが歪んだりしたケースがあります。
タイヤの削れホイールの歪みがあると、車に以下のような症状が現れます。
- 少しずつタイヤの空気が抜けていき、走行が困難になっていく
- ハンドルがぶれる
タイヤの空気が抜けたりハンドルがブレたりすると、走行に大きな支障をきたし、事故につながるケースもあります。
タイヤやホイールへのダメージに気づいたら、公道を走らずすぐにレッカー車を呼ぶようにしてください。
タイヤ回りの修理費用
タイヤ周りの修理は、部品代や工賃などを含めて20,000〜50,000円ほどで行えます。
修理にかかる時間は、タイヤ1本あたり20〜60分ほどです。
縁石側に傷がついたときは警察に連絡
車ではなく縁石に傷をつけてしまった場合、物損事故となります。
警察に連絡せず放置すると道路交通法違反となってしまうため、必ず警察に通報するようにしてください。
しっかりと通報を行えば、違反点数が加算されることもありません。
しかし放置して走り去った場合、当て逃げと判断され、最悪の場合、免許が停止される可能性もあります。
また、車と縁石の両方に傷がついてしまった場合、保険を適用するために交通事故証明書を発行する必要が出てきます。
交通事故証明書は、事故を警察に届けることで発行されます。
その場で警察に報告せず、後から報告しようとすると、「証拠に欠ける」という理由で受け付けてもらえない可能性もあります。
縁石に乗り上げた時点ですぐに通報すれば、スムーズに交通事故証明書を発行することができます。
車両保険を使うのかは適宜判断する
縁石に乗り上げて車を損傷した場合、必ずしも車両保険を使用する必要はありません。
また、場合によってはそもそも車両保険を使えないケースもあります。
車両保険を使うか使えるかは、事故の度合いや損傷箇所などに合わせて適宜判断するようにしてください。
車両保険を使えないパターン
以下のようなパターンに該当する場合、車両保険を使うことができないため注意しましょう。
- 縁石破損が適用範囲となっていない
- 破損部位がタイヤのみである
保険のグレードが低いと、縁石破損が保険の適用範囲に入っていないケースがあります。この場合、保険を使うことはできません。
また、破損部位がタイヤのみの場合も保険は使えません。
というのも、タイヤは消耗品という扱いになるためです。
タイヤだけでなく他の部分も損傷していた場合は、タイヤの破損も含めて車両保険を利用することができます。
自腹の方が等級ダウンより安く済むパターンもある
車両保険を利用した場合、等級が3等級下がり、事故有係数適用期間が3年加算されることとなります。
さらに、次年度の保険料が高くなったり、等級が下がりすぎて保険を拒否されたりする可能性もあります。
こうしたリスクを鑑みると、保険を使用せず自腹で修理してしまった方が安く済むケースもあります。
保険を使うのと使わないのではどちらが得なのか、自身が加入している保険の詳細を見ながらじっくりと検討してみましょう。
対物保険があるプランに加入していれば縁石の修理代も保険適用
対物保険とは、車の事故によって電柱や他の人の車などを破損させた際にお金がもらえる保険のことです。
対物保険があるプランに加入していれば、縁石の修理代も保険で賄うことができます。
支払ってもらえる保険金は、「10,000,000円まで」などと制限があるものから、無制限のものまでさまざまです。
自身の加入している自動車保険のプランが縁石の破損に対応しているか、一度チェックしてみましょう。
会社に依頼すれば計算を行ってもらえることもあるため、一度保険会社に確認してみるのもおすすめです。
代表的な保険会社とその連絡先は、以下の通りです。
- チューリッヒ 0120-860-001
- ソニー損保 0120-101-789
- 三井ダイレクト損保 0120-638-312
- アクサ損害保険 0120-699-644
- SBI損害保険 0800-2222-581
- そんぽ24 0120-00-2446
※受付時間は各保険会社によって異なります。
縁石乗り上げ事故は適切な判断が重要
最後に内容をおさらいします。
縁石に乗り上げた場合、車のさまざまな箇所を損傷している可能性があります。
まずは、車のどこにダメージを負ったかどこに不調があるかをしっかりとチェックしましょう。
そのまま走行すると事故につながる可能性もあるため、少しでも異常や外傷が見られた場合は、無理せずレッカーやロードサービスを呼ぶようにしてください。
また、修理費用は損傷している部分によって異なります。
軽度な場合は数千円から数万円で済みますが、バンパーやアンダーパネル(車の下部分を覆うように取り付けられているパーツ)などが大きなダメージを受けている場合は300,000〜500,000円ほどかかるケースもあります。
車種によっては1,000,000円ほどすることも。
修理費用が高くなりそうな場合は買取という選択肢を検討するのも1つの手です。
ただし、事故車の場合は市場価値が下がり、販路の兼ね合いからディーラーや中古車買取業者では良い価格で買い取ってもらえる可能性が低くなります。
一度査定はしてもらったけど、満足した金額を提示してもらえなかった時はぜひ「事故車買取のタウ」をご利用ください。
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